Case Study 2

Landscape for Arborvitae Photo Book/Concept Book

美しい写真と明快なコンセプトの効果的な視覚化。写真集とコンセプトブック、2分冊化への試み。

1.コンセプトの構築

すべては一本の木からはじまった。
樹齢600年を超える巨木、米マウントレーニア産ダグラスファー。
台風により倒木となったこの木を日本へと持ち帰り、その姿を愛でるためだけに新築された鞘堂とそれを取り巻くランドスケープ。建築を手がけたのは、故・内井正蔵氏。ランドスケープは、故・野沢清氏。「世田谷美術館」を手がけた名コンビによって生み出されたそのコンセプトは、この“心木”を中心に、生け花でいうところの“真・副・控”に即して各建築物、および樹木を配していくというものだった。

そうして生み出された建築&ランドスケープの四季折々を写真家・奥村浩司氏がじっくりと撮り続けた。
その美しい写真と明快なコンセプトを読者にそれぞれ十分に味わってもらうために、写真集とコンセプトの二分冊化をまずは発想。写真集はさくらの季節である春の水辺からはじまり、夏、秋、冬、そして再びめぐり来る春という構成。コンセプトブックは、江戸初期以来17代にわたって材木業を生業とし続けてきたクライアントの歴史に敬意を表して、和風の蛇腹つづれ織り。それらを鞘堂のかたちを型抜きしたケースに収めることで、“心木”を中心に計画されたこのプロジェクトを象徴させることととした。

2.コンセプト・ブック ー体感型ライブラリーのガイドブック

「長谷木ベイサイド」と名付けられたこのプロジェクトは、材木業によって生活の糧を得てきたクライアントにふさわしく、“心木”のみならず、敷地内に散りばめられたさまざまな施設にふんだんに自然木が使われていて、その姿はまるで木に関する体験型ライブラリーの様相を呈している。
もちろんランドスケープを整備するに当たって使われている生木もその例外ではない。
通常の小さなサンプルでは決して掴むことのできない質感や空気感を、床や壁、柱や扉、大テーブルをはじめとする家具、あるいは植木など、実際にそれが使われている空間や環境を通じて体感する仕掛けが施設全体に施されているのである。
コンセプトブックをつくるに当たっては、建築コンセプト、ランドスケープコンセプトと併せて、クライアントの姿勢が反映された体感型ライブラリーのガイドブックとしても機能するよう心を砕いた。

※「長谷木記念幹」は、一般には非公開です。